バリが静寂に包まれた日

皆にも知ってほしい3月28日のこの日。この日はバリ島のお正月ニュピの日です。バリ島では約90%がヒンドゥー教。この日はバリの神様マヤ神が冥界の大掃除をするため、悪鬼のプトカロが人間界に這い出してきてしまう日と言われています。人々はどうにかして悪鬼を冥界に戻す為、ニュピの前日に彼らを追い払わないといけません。この儀式をバリでは"オゴオゴ"と言います。

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バリのみんなは、オゴオゴの儀式で使うこの鬼を約3ヶ月前から作り始めます。この手作りの鬼は当日街を練り歩き、それぞれの家から追い出した悪鬼が仲間だと勘違いして集まる様にする為、鬼の形に似せて作るのです。最後は焼いて清められるのだけど、制作過程を見ちゃうと少しもったいない気持ちも。実際に見てみると、ものすごく精巧な作りで職人技を感じます!バリ島全域で行う神聖な行事なので、村全体で若い人たちがメインとなって鬼作り。文化が紡がれるのっていい事だなぁ。

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鬼を追い払ったオゴオゴが終わると、いよいよニュピの日。家から追い出した悪鬼たちに人々の存在を気付かれない様に過ごす日で、悪鬼たちは人間がいないと分かると冥界に帰っていくと信じられています。そのため、この日は4つの事がバリで禁止になります。

✴︎家以外の外出禁止

✴︎労働禁止

✴︎灯火の禁止

✴︎殺生の禁止

これはバリの人たちだけではなく、バリにいる全ての人が守らないといけません。当日はポチャランと呼ばれる地域自衛隊も見回りしてるので、外出してたら捕まっちゃいます。空港も1日閉鎖になるのでバリに行けないし、バリからも出れません。ただ、もしまた機会があったら私はこの時期を狙ってまた今度行きたいなと思ってます。島中が静寂に包まれる不思議な日はきっとココでしか体験出来ないはず。

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島中が働くことよりも、静寂の中に身を置く時間を大切にする日、ニュピ。お祈りと瞑想を欠かさずにするバリの人たちに触れると、忘れていた感覚を思い出させてくれる気がします。お日様と一緒に目覚め、暗闇と共に眠る。明かりを操る事が出来る様になってしまった私たちは、出来なくなってしまった事も沢山ある。その感覚を思い出す様に、年に一度行なわれるニュピを心から大切にするバリの人々。伝統を守り続けるのには、意味がある。それを感じさせてくれるこの場所は色々な事を教えてくれます。